2024年3月に新設された在留資格「特定技能・自動車運送業」。深刻なドライバー不足を背景に生まれたこの制度ですが、受入要件が複雑で「何から始めればいいかわからない」という声をよく耳にします。本記事では制度の仕組みと受入要件を整理します。
01|制度の概要:なぜ生まれたのか
政府の推計では、2024年問題(時間外労働の年960時間上限規制)の影響も重なり、2029年度までに約28.8万人のドライバーが不足すると試算されています。この危機的状況に対応するため、2024年3月29日の閣議決定により特定技能1号の対象分野に「自動車運送業」が追加されました。
02|受入企業が満たすべき要件
Gマーク(トラック事業者の場合)
トラック運送事業者が特定技能外国人を受け入れるには、全日本トラック協会が認定する「安全性優良事業所(Gマーク)」の取得が必須です。
全国のトラック事業所のうち、Gマークを取得しているのはおよそ3分の1。取得していない中小零細企業は、特定技能制度の活用が難しい現状があります。LCGではGマーク未取得企業の取得サポートも対応可能です。まずはご相談ください。
バス・タクシー事業者の場合
Gマーク不要の代わりに「働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証)」の取得が求められます。特定技能制度をきっかけに、バス業界では前年度比130%、タクシー業界では130.7%と取得数が急増しています。
協議会への入会義務
最初の特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」への入会手続きが必要です。
03|外国人材が満たすべき要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 技能試験 | 「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格(学科+判断等試験) |
| 日本語能力 | トラック:N4以上 / バス・タクシー:N3以上 |
| 運転免許 | 就労開始時点で日本の運転免許を保有していること(外免切替が必要) |
| 雇用形態 | 直接雇用のみ(派遣は不可) |
| 在留期間 | 特定技能1号:通算5年(家族帯同・更新は不可) |
04|「特定活動」期間について
海外から採用する場合、日本の運転免許を持っていないまま入国し、日本で取得するための準備期間として「特定活動(特定自動車運送業準備)」という在留資格が設けられています。
- トラック運転者の場合:最長6ヶ月(バス・タクシーは最長1年)
- この期間中は教習所への通所・免許試験の受験が主な活動
- 車両の清掃・点検補助等の関連業務への従事は可能
- 期間内に免許を取得できなかった場合は、原則として帰国となる
- 受入企業は教習所費用・生活費・住居等のコストを負担することが多い
この期間中のコスト・リスクが外国人採用のハードルになっているのが実情です。LCGでは、来日前のシミュレーター教育と学科eラーニングで合格率を高め、このリスクを最小化することを目指しています。
05|受入企業の「本音」
物流ニュース社の調査(2025年9月、運送会社111社回答)では、83.7%が深刻な人手不足を感じていると回答。一方で特定技能外国人の採用に「消極的」と答えた企業が64.8%に上りました。
| 採用を躊躇する理由 | 回答割合 |
|---|---|
| 安全性への懸念(日本の道路に対応できるか) | 66.2% |
| 言語・コミュニケーションの壁 | 54.4% |
| 住居確保等、支援体制の負担 | 47.1% |
これらの不安は、準備をしっかり行えば解消できるものがほとんどです。名鉄バスが2024年にインドネシア国籍のドライバーを採用した事例では、母国での事前教育が成功の鍵だったと報告されています。
※本記事のデータは以下の一次情報に基づいています。
国土交通省(特定技能・自動車運送業分野概要)・出入国在留管理庁・法務省(在留外国人統計)・全日本トラック協会(Gマーク取得状況)・物流ウィークリー(採用意識調査)・PR TIMES(働きやすい職場認証取得数)等。数値は公表時点のものです。